中学生の数学【連立方程式の利用】応用問題の解き方

今回は中学生から質問があった2つの問題を解説していきます。
「人数の割合の問題」と「食塩水の濃度」の問題です。どちらも苦手としている中学生が多いのですが、理解しやすく解説していきます。

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【連立方程式の利用】応用問題の解き方

連立方程式の中でも中学生が苦手とする「割合の問題」を解説していきます。
今回解説する問題は、塾に通っている中学生から質問があった問題になります。

通常の2つの問題の考え方と解き方で、割合の問題の基本的な考え方を理解しましょう。
まずは自力で問題を考えてから解説を読みましょう。

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問題1 基本的な割合の問題

A中学校の生徒数は、去年は480人だった。今年は、男子が10%減り、女子が4%増え、全体で13人減った。A中学校の今年の男子、女子それぞれの生徒数を求めよ。

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問題2 食塩水の濃度の問題

4%の食塩水と14%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を1000gつくる。
2種類の食塩水をそれぞれ何gまぜればよいか。

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【連立方程式の利用】応用問題の解説

【問題1】は「基本的な割合」の問題です。割合の表し方をシッカリと見直しましょう。
割合の問題が苦手な中学生は、解説では考え方のポイントをいくつか挙げますので、割合の基本的な考え方をマスターしましょう。

【問題2】は多くの人が苦手としている「食塩水の濃度」の問題です。ポイントを押さえれば簡単な問題ですので、解説でそのポイントを伝えていきます。

※解説前にシッカリと自分で問題を解いてみましょう!
※今回は計算方法については解説していません。
⇒計算方法については 連立方程式の解き方 をご覧ください。

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問題1 基本的な割合の問題の解説

【問題を解くポイント】求めたい数字は『A中学校の今年の男子、女子それぞれの生徒数』です。
通常、方程式の問題を解く場合は、求めたい数字を $ x $ ,$ y $ としますが、割合の問題は違います
割合の問題の場合、割合の元になる数字を $ x $ ,$ y $ とします。
この問題の場合、去年の男子生徒数を $ x $ ,去年の女子生徒数を $ y $ とします。
※求めたい数字を $ x $ ,$ y $ としても解くことはできますが、計算が複雑になります。

POINT1割合の問題では、割合の元になる数字を $ x $ ,$ y $ とする。

割合の考え方:500人の10%を計算する場合は、500×0.1、20%を計算する場合は、500×0.2 と小学校で習ったはずです。その元になる考え方は、%は百分率ですので、100で分けたうちのいくつか‥ということです。
10% ⇒ ×0.1 ⇒ ×$ \frac{10}{100} $ という事です。
計算上、分数の方が便利ですが、考えにくい場合は小数でもOKです。

数字のまとめ:方程式の文章問題を解く場合、情報の整理が重要です。
私は次のようにまとめました‥
・去年の男子生徒数を $ x $ ,去年の女子生徒数を $ y $ とする。

・去年の生徒数 480人
・今年は男子が10%減
・今年は女子が4%増
・今年は昨年より13人減った

POINT POINT2 $ x $ と $ y $ を何の数にするか決め、情報をまとめる。※一カ所に書いてまとめるのがおススメ。

■この問題はココまでの情報で式が出来ますので、一旦この情報で解説します。

【式1】一つ目の式はカンタンです。
【去年の男子生徒数+去年の女子生徒数=去年の生徒数】
去年の男子生徒数を $ x $ ,去年の女子生徒数を $ y $ で、去年の生徒数が 480人ですので、
$ x $ + $ y $ =480

【式2】2つ目の式は、昨年の増減を表す式です。
【男子の増減数+女子の増減数=合計の増減数】
男子が10%減 ⇒ $ \frac{10}{100} $$ x $ 人減った
女子が4%増⇒ $ \frac{4}{100} $$ y $ 人増えた
この2つの文字式を合わせると、

$ -\frac{10}{100} $$ x+ $ $ \frac{4}{100} $$ y $ = 13

【式2】を小数で表すと、$ -0.1x+0.04y $ = 13 となります。

【式1】と【式2】を連立方程式として解きます。
⇒ $ x=230 $ + $ y=250 $

この $ x $ と $ y $ は昨年の生徒数ですので、今年の増減数は
$ x×10% = 23 $
$ y×4% = 10 $
男子‥昨年より23人減ったので今年の男子数は207人
女子‥昨年より4人増えたので今年の女子数は260人

今年の男子数 207人
今年の女子数 260人

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問題2 食塩水の濃度の問題の解説

食塩水の濃度の問題は、4%の食塩水や14%の食塩水などが出てきて、何をどう考えればいいのか分からない‥という人も多いようです。しかし、4%の食塩水は、100gの食塩水に4gの食塩が入っている‥と考えればOKです。
食塩の重さは「食塩水の重さ×濃度(%)」で計算することができます。
今回の問題は【8%の食塩水を1000gつくる】という事ですので、1000gの食塩水の中に80gの食塩‥ということになります。(1000×0.08=80)

POINT3 食塩水の濃度は、食塩水に入っている食塩の重さと考えよう!

『2種類の食塩水をそれぞれ何gまぜればよいか』という事ですので、【4%の食塩水の重さ】を $ x $ ,【14%の食塩水の重さ】を $ y $ とします。未知数が2つですので、2つの式を作ればいいのですが、今回分かっていることは、
・4%の食塩水と14%の食塩水がある
・1000gの食塩水を作る
・8%の食塩水を作る
ということですので、
連立方程式の2つの式を日本語的に考えると、
【式1】「4%の食塩水の重さ」+「14%の食塩水の重さ」=「求めたい食塩水の重さ」
【式2】「4%の食塩水の食塩の重」+「14%の食塩水の食塩の重さ」=「求めたい食塩水の食塩の重さ」ということにになります。

POINT4文字式や方程式を作る場合、いきなり文字式を考えるのではなく、『日本語』‥言葉で考えると考えやすくなります。
文字式には意味がありますので、上記の例のように考えてみましょう。

【式1】一つ目の式は食塩水の重さの式です。
【4%の食塩水の重さ+14%の食塩水の重さ=求めたい食塩水の重さ】
$ x $ + $ y $ = 1000

【式2】2つ目の式は、食塩の重さを表した式です。
【4%の食塩水の食塩の重+14%の食塩水の食塩の重さ=求めたい食塩水の食塩の重さ】
$ \frac{4}{100} $$ x+ $ $ \frac{14}{100} $$ y $ = 80
※1000gで8%なので【1000×0.08=80】

【式1】と【式2】を連立方程式として解きます。
⇒ $ x=600 $ ,$ y=400 $ これがそのまま答えとなります。

答えは
4%の食塩水‥600g
14%の食塩水‥400g

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【連立方程式の利用】応用問題の解き方 まとめ

今回は基本的な方程式の作り方、割合の問題の考え方、食塩水の濃度の考え方など、連立方程式の応用問題を解くうえで大切なことを『POINT』としてピックアップしました。
『POINT』を意識して何問も類似問題を解いてみましょう!

分かったと思っただけでは問題を解くことはできません。
理解したと思ったら解いてみることが大切です。
理解したらやってみる‥と、できるようになりますよ^^

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